サウジアラビアではアラビア語が必要?

サウジアラビアの公用語と言えば、アラビア語。
ということは、やはり駐在や出張でサウジへ行くあなたもアラビア語が必要なのでしょうか?
それとも世界の共通語、英語で何とかなるのでしょうか?
安心してください。
サウジアラビアと言えども、アラビア語はなくても大丈夫です。
日本語以外には英語しか知らないからといって、業務や生活ができないということはまずありません。
もちろん、アラビア語ができるに越したことはありません。
アラビア語ができれば、TVや新聞で最新情報を直接入手できますし、タクシー配車アプリUberなどで呼んだ車の運転手がアラビア語しか話せなくても、会話に困らないでしょう。
そして、サウジアラビアに限ったことではありませんが、現地の人と現地の言葉で話せば、相手はより親近感を抱いて心を開いてくれるようになります。
ですから何かに付け、より率直な考えを聞けることが期待できますし、あなたが何か困ったときもより親身になって助けてくれるでしょう。
それでもワタシは敢えて、サウジ 駐在・出張に際し、アラビア語を身に付けておく必要はないと考えます。
なぜなら、あなたが仕事で忙しく疲れている中、アラビア語の学習に時間と労力を割こうとするのであれば、その時間と労力は英語の学習に充てる方が、より有益だからです。
その理由としては、2つ挙げることができます。
1.非アラビア語圏の人と接する方が多い
まず可能性として、サウジアラビアであなたは、サウジ人を始めとするアラビア語圏の人と接するよりも、非アラビア語圏の人と接する方が多いことが見込まれるのです。
これは、サウジアラビアの経済が、出稼ぎの外国人で成り立っていることに拠ります。
サウジの人口は3,400万人程ですが、その1/3以上は外国人です。
人口上はサウジ 人が多数ですが、会社へ行っても、お店へ買い物に行っても、働いている人の中でサウジ人は少数派です。
これはサウジ人が、当座の失業を選んででも公共部門の職に就く機会を待つ人もいるくらい、待遇が相対的に低い民間企業での勤務を敬遠しがちであるとか、ブルーカラー的な体を動かして働く仕事をするのは卑しいことという考え方がある点が、大きな理由となっています。
サウジ人が敬遠する仕事は、サウジ人より低い待遇でも働く外国人が伝統的に担っています。
近隣のシリア、エジプト、ヨルダン、スーダンなどから大勢が働きに来ていて、彼ら・彼女らの母国語はアラビア語です。
しかし、サウジアラビアにいる外国人全体で見ると、そうしたアラビア語圏の人数をも凌ぐ数の人が、南アジアや東南アジアから来ているのです。
ヒンズー語やタミール語等のインド人
ウルドゥー語のパキスタン人
ベンガル語のバングラデシュ人
インドネシア語等のインドネシア人
タガログ語のフィリピン人
などなど・・・。
そして、あなたが南アジアや東南アジアの人とコミュニケーションを取ろうとすると、そのときの言語は必然的に、お互いの唯一の共通語である英語になります。
もっとも、ひとくちに”共通語である英語”といっても、ワタシたち日本人の英語がカタカナ英語であるように、みんな国によって独特なクセのある英語ではありますが。
2.アラビア語圏の人も、大抵英語が通じる
アラビア語を学習する時間と労力があれば、むしろ英語に充てるべきである2つ目の理由は、サウジアラビア人を始め、中近東や北アフリカといったアラビア語圏の人も大抵英語が通じるからです。
もっとも、中には例えばタクシーの運転手や小さな商店の売り子など、英語がほとんど通じないアラビア語オンリーな人もいます。
しかし、あなたが業務上相対するアラビア語圏の人は、ほぼ全員英語でコミュニケーションできる人である筈です(訛りなどクセの程度の差こそあれ)。
仮に例外的に、アラビア語しか通じない人と仕事上話をしなければならない際は、周りにいる他のスタッフに代わりに対応してもらったり、通訳してもらったり、若しくは最悪スマホの通訳・翻訳アプリを使ったりすることで、凌げるでしょう。
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だからこそ!
サウジ アラビアへの駐在・出張にあたっては、現地の公用語であるアラビア語を学習しようという熱意があれば、先ずは英語を意思疎通や情報収集の道具として磨いておくことを優先させてください。
「英語なら既に使えるよ」という場合でも、読む、聞く、話す、書くといった異なる技能を等しく同じレベルで有するのは難しいことです。
ですから、あなたが仕事で特に求められる技能を磨いたり、比較的苦手意識がある技能を向上させたりと、英語の更なる上達にできることは、まだある筈です。
しかも英語はサウジアラビア に限らず、他の中東諸国、いや世界どこへ行っても有効な武器になりますので、英語力が高ければ高いに越したことはありません。
ですから、ぜひサウジへ行く準備期間、猶予期間がある今のうちに、ぜひエイッ!と決意して、英語の学習をがんばってみることをオススメします。