ひげのススメ

サウジアラビアというと、男性はみんな揃ってひげを生やして・・・というイメージもありますが、あなたが男性であれば、サウジ駐在・出張のときにはどうするか考えておくべきです。
今回はサウジにおけるヒゲの位置付けと、駐在員・出張者としての対応、更に注意点について一緒に見ていきましょう。
そもそもどうして生やすのか?
まずひとつ結論から言いますと、サウジアラビアで男性がひげを生やすことは、義務ではありません。
ひげは、あくまでも推奨であって、義務ではないのです。
もっともこれは、サウジアラビアならではの伝統に拠るものではありません。
ひげの推奨は、イスラム教が男性の信徒に説いていることなのです。
信徒にひげを勧める根拠は、ハディースという、預言者ムハンマドの言葉や行動をまとめたものに残された記述です。
法学者たちによって、別個に幾つも編纂されたハディースのうちのひとつには、ひげについて次のようなにかかれています(引用元はこちら)。
「異教徒たちとは反対のことをしなさい。顎ひげは残しておき、口ひげは短く切りなさい」と、預言者は言った、とイブン・ウマル*は言った。
(*イブン・ウマルとは、預言者ムハンマドの死後、イスラム教の第二代目の最高指導者となった人)
このようにハディースに記されていて、イスラム教徒が模範として実践すると良い事柄のことをスンナといいます(「やろうね」と言っているのに「すんな」・・・)。
預言者ムハンマドは顎ひげを生やしていたと信じられていて、実際ハディースにスンナとしてひげの記載が残されている。
これが、イスラム教を国境とするサウジアラビアで、男性が髭を生やす根拠なわけです。
もっとも、そうかと言って、サウジアラビアではイスラム教徒の男性全員がひげを生やしている、というわけではありません。
確かに殆どの人はひげがありますが、特に若い世代では、きれいサッパリつるんとしてる人もいます。
日本人男性はどうするべき?
以上の話を踏まえて、それではサウジアラビアに駐在・出張するあなたが男性の場合、ひげはどうすればよいでしょうか?
ワタシの思いは、次の自作の一句に込めることができます。
生えるなら
伸ばしておこう
顎のひげ
サウジアラビアでは、ひげを伸ばしていると、周りの印象がプラスの方向に作用することがあります。あなたが得することはあっても、損することはありません。
その理由は、次の通りです。
1.男らしさの象徴
ひげは単にイスラム教が推奨しているから生やす、というだけではありません。
イスラム教徒の男性に聞くと、男らしさを出すため、というのもひげを生やす大きな理由になっているようなのです。
しかし、それってつまり、逆に言うとひげがないと男らしくない、と見られるかもしれないってことです。
たかがひげでそんな風に思われてしまっては、面白くありませんよね。
ましてや、あなたはサウジに駐在・出張をしたら恐らくは、指示、指導、注意、提案といった、相手の一段上に立つ役割を担うことになるわけです。
ですから、自分の外見が相手にどのような印象を与えるかはとても大事なこと。
舐められたり、下に見られたり、軽んじられてしまっては、サウジでの任務の遂行が難しくなってしまいます。
ですから、ひげが生えない場合は別にして、はやしておくことをワタシはオススメします。
2.年相応の大人の雰囲気を出せる
日本人はひとたび東アジアを出ると、実際の年齢より若く見られがちです。
年齢を聞かれて答えると、「え!?もっと若いかと思った!」と言われたりするものです。
しかしこれ、仕事をするためにサウジアラビアへ行く身としては、あまり喜んでばかりもいられることではありません。
こちらの年齢を知らない状態で若く見られるということは、軽く見られやすいということです。
「若造のあなたに言われたくない」
「全然年下のあなたより、こっちの方がよほど物事を判ってるぞ」
と思われては、現地スタッフを指導したり、部下に持つ立場としては、やはり求められる役割の全うが難しくなります。
元々童顔の人であれば尚更です。
そうした、若々しさ故の問題を解消する手助けになるアイテムが、ひげなのです。
ひげがあると、やはり見た目の年齢が上がって、大分雰囲気も変わりますよ。
ひげの注意
サウジで仕事をする上での、いい相棒となり得るひげですが、生やしておけばいいというものでもない点には、注意が必要です。
あるがままを受け入れての生え放題、伸び放題にしないことを、ハディースに代わってワタシが推奨します!
サウジアラビア人は、そして外国人でも事務所で仕事をするようなホワイトカラーの人は、ひげを伸ばしっぱなしではなく、整えています。生やす場所、長さなど、彼らのひげはちゃんと意図のあるひげになっています。
特に若い世代は、まったくひげには疎いワタシでも見入ってしまいそうになる、キチッとスタイリッシュなひげをした人も多いです。
ひげの生やし方には、デザインによって名前もあるらしいですよ!
それでは、特に整えずに、生えるものを伸び放題にしたひげはどうなのでしょうか。
そうしたスタイルは、出稼ぎ労働者がやるひげです。
ワタシたち日本人は、なかなかひげを伸ばすという習慣がありませんので、「サウジに合ったスタイルを踏襲しよう」とひげを伸ばし始めると、この出稼ぎ労働者式な生やし方をしがちです。
しかしそのひげですと、職場でもあなたはそういう層の人なんだという印象を与えかねません。
そうしますと先ほどの話と同じで、本来サウジで果たすべきである、現地スタッフへの指導・指示といった類の任務を果たすのが難しくなってしまいます。
サウジへ駐在・出張するときのオススメのひげは、顎ひげ(又はプラスアルファで、唇の下も)です。長さは1センチ有れば十分です。
これですと、“今どきのひげ“って感じだから古めかしくないですし、ちゃんと“整えてる“ことが判るスタイルですし、有るに越したことはないひげがちゃんと存在感あります。
ワタシたちひげ初心者の異教徒でも、わざわざ生やす目的を果たすには十分なひげです。
まとめ
1.
ひげは、イスラム教が信徒に推奨するもので、義務ではない。
2.
あなたが整えたひげを生やすと、サウジで仕事上、得することこそあれ、損することはない。