ありったけ英語〜出稼ぎ外国人に学ぶ、使える英語の極意〜

英語の正しさ < 意思疎通
英語は上手に話せばいいって訳ではないのです。
もちろん、正しい英語ができるに越したことはありません。
でも、「そもそもサウジで英語を使う目的って何だっけ?」と考えますと、次のように表せると思います。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
情報や相手の主張を理解した上で、
相手に情報や主張を伝達して、
できるだけ自分の意向を通すこと。
であればですよ。
もしこれを達成できるのであれば、英語が完璧か、多少間違いがあるかって、本質的には関係ないことですよね?
だって、英語を使う目的が果たせちゃってるんですもの!
英語は正しければいい訳ではない。
特に会話では、相手に通じればそれが正解になる。
サウジアラビアで通訳をしていると、そのことを強く感じます。
ありったけ英語で世界に挑む。
サウジアラビアで技術指導を通訳する現場に出ますと、相手はインド人、バングラデシュ人、フィリピン人等の出稼ぎ労働者が大半です。
彼らはそれぞれ、祖国では貧しさ等で教育を受ける機会が十分でなかったり、勉強が苦手であったりするために、安定した仕事に就くのが難しい人たちです。
そんな彼らが、一番手っ取り早い”出世”の手段としてサウジアラビア に渡り、家族の期待を一身に背負って働いています。
そうした背景ゆえに、彼ら出稼ぎ労働者の英語は”正しい英語”ではありません。
発音には独特の訛りがあり(ワタシたち日本人でいうカタカナ英語)、語彙力は限られていて、母国語の直訳による一聴しただけでは判りづらい表現もします。
そんな多国籍集団の彼らとコミュニケーションを取るには、”正しい英語”を超越した英語で対峙する柔軟さが必要になります。
例えば「おととい」って、英語でどう言うかと言いますと、「the day before yesterday」です(直訳すると「昨日の前の日」!)。
でもこれ、あまり英語に明るくない人には通じない言葉です。
ではどう言えば良いかといいますと、ワタシのベストアンサーは「two days ago」。次点で「yesterday, yesterday」です。
Yesterday, yesterdayは、英語の試験があったらバツですね(笑)
でも相手次第では、これなら通じるから正解!にもなるんです。
もうひとつ例を挙げます。
サウジアラビアの夏はホントに暑くて、ピーク時には50℃を超えます。
海沿いで同時に湿度まで高くなると、汗が体中から吹き出してそれはそれは悲惨な状況になります。
そんなとき、通訳の現場では「汗も沢山かいて大変だけど、仕事については〜」と話す場面も出てきます。
この「汗」って、英語で「sweat」って言うんですけど、相手によっては通じないことも多い単語です。
では、そうした相手に「汗をたくさんかく」ってどう伝えるかですが、「many many water」と言えます。
これは、出稼ぎの人が口にしていた言い回しなんですけど、「なるほどなぁ!」と感動してしまい、以来ワタシもサウジで使っています。
英語の先生なら眉をひそめそうな言い方ですが、これなら通じるから正解になる世界もあるのです。
ありったけ英語のすすめ
いかがですか?
英語の世界の敷居が途端にグンと低くなった気がしません?
英語っていうのは、別に「完璧に話さなくちゃ!」と身構える必要は全然ないのです。
だって英語なんて、意思疎通と情報収集のための単なる道具ですものね。
正しい英語にこだわるあまり、話すのをためらったり、人との接触を避けるくらいなら、今あなたが持っている英語で、思いをまずは伝えちゃいましょう!
ん?
笑われるのが恥ずかしい、ですって?
大丈夫!
サウジアラビアであれば、相手はほぼほぼあなたと同じ非英語ネイティブ。
あなたが思う程には、あなたの英語をいちいち気にしません!
それよりも、例えあなたの英語力が十分でなかったとしても、手持ちの知識の限りを尽くして、「伝えたい!」という熱意で話し掛けるありったけ英語は、流暢だけど淡々と話す英語よりもよっぽど好意的に受け止めてくれます。「何を言おうとしているのかな?」と、理解しようとしてちゃんと聞いてくれます。
ですから、先ずは「伝えたい!」「伝えなくちゃいけない!」という思いを大切に、ぜひありったけ英語を駆使して、サウジアラビア駐在・出張を有意義なものにしていってください。
まとめ
1.
サウジアラビアでは、英語は正しければ通じるとは限らない。”正しい英語”でなくとも、通じればそれが正解!
2.
苦手意識で尻込みするよりも、手持ちの知識を駆使しながら、「伝えたい!」という思いを込めて話す英語は、サウジアラビアでちゃんと受け入れられる!