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サウジアラビアで直面する言い訳の背景と対処法

いさお
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いさお
英語と日本語の通訳翻訳者。TOEIC960点、英検1級。2016年から日本とサウジアラビアを行き来し企業の経営会議、技術指導等で18ヶ国300人以上を通訳、及び関連文書を翻訳。サウジ駐在・出張は、「行けば、何とかなる」「英語ができれば、何とかなる」で挑む人は、文化上・英語上のトラブルやストレスに見舞われて、任務の遂行に支障が出やすいと痛感。そこでこれを回避すべく、サウジアラビアに駐在・出張する人が是非知っておきたい情報を、本サイトでお届け!
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「どうして皆んな、言い訳ばっかりするの!?」

これ、サウジアラビアに駐在・出張する人なら恐らく誰もが感じることです。

「やります」と言っていたのにできてない。
「連絡します」と言っていたのに連絡がない。
気になって問うてみれば、返ってくるのは「でも」や「だって」と都合のよい話ばかり。
ひとこと「すみません」を言ってくれるだけでも、だいぶ違うのに・・・!

 

しかもサウジアラビアだからといって、言い訳が出てくるのはサウジ人だけではありません。
インド人も、エジプト人も、フィリピン人も、サウジで一緒に仕事をする外国人は一様に、何かにつけ言い訳を口にします。
もー、どーしてーー!?

今回は、サウジで出会う人々が言い訳を繰り出す背景、また、言い訳への対処方法をお伝えします。

 

なぜ言い訳?

サウジアラビア人も、外国人も一体どうして押し並べて言い訳を言うのでしょうか。

ワタシは以下の4つの理由を挙げたいと思います。

 

言い訳の理由①:多民族の歴史

日本は一般的に単一民族の国とされますが、これと逆にサウジアラビアも出稼ぎ外国人の母国も、他民族の国です。
こうした地域は、外国と地続きであったり、諸島国家であったりして、歴史的にも地域内外で人々の行き来が盛んでした。

人々の往来が地域内で、更に地域を跨いで盛んということは、異なる文化や価値観も言葉が入り乱れるということです。
そうした異質な者(時には外敵)と共存する社会では、簡単に人に謝ってばかりでは、自分の主張を通すことはおろか、自分の立場を守ることもままなりません。

 

そしてサウジアラビアは、伝統的に国内では部族間の抗争があった国ですし、現在では全国民の3分の1が外国人である多国籍社会です。
まさに多文化社会を体現する最たる国と言えます。

 

一方日本といえば、基本的に単一民族の農耕社会で、周囲との協調こそが社会での安全な生活を営む上で求められる姿勢です。
人様にご迷惑を掛けることを避ける日本では、主張よりも謝罪で誠意を見せることが、円滑な社会生活を維持する上での大切な術となります。

ですから、そんなワタシたち日本人にとっては、サウジアラビアで出会う人たちが、説明が冗長で言い訳くさく聞こえて仕方ない、という側面があります。

 

言い訳の理由②:出稼ぎ

サウジアラビアでは労働者の70%が外国人とも言われ、その多くは南アジア、東南アジア、アフリカなどの出身です。
そして残念なことに、これらの国々の人は一般的にサウジアラビア人には、自分たちより下の存在と見られています。

これは特に、単純労働や肉体労働に従事する外国人に対して顕著です。
というのもサウジアラビアでは、体を動かして汗水垂らして働くことは卑しいこと、という考え方があるからです。

外国人の多くの上司、そして雇い主はサウジ人です。
人にもよりますが一般的に上の立場のサウジ人は、(特にいわゆる発展途上国からの)外国人には態度も高圧的です(”甘く見られるとつけ上がってしまうから厳しくしないと!”という考えが根底にあるように感じます)。

 

そういう環境ですと外国人労働者としては当然、「何かあったら上司に怒られる」「ヘマをしたら首になる」と思います。

出稼ぎ外国人がサウジアラビアへ働きに行く目的は、ひとえに一円でも多くお金を稼いで、祖国で待つ家族に一円でも多く仕送りを送ることです。
何かの責を負っての罰金や解雇などの不利益は、断じて被りたくない立場です。ですから、簡単には自分の非を認めることはできません。

その結果、出稼ぎでサウジに来ている人は簡単には自分の非を認めようとはせず、「言い訳ばかり」という印象にもなります。

 

言い訳の理由③:過当競争社会

サウジアラビアには、サウジアラビア人が「ここで働きたい!」と思うような働き口は、十分にはありません。

その要因としては、雇用先の数自体が十分でないという点と、サウジ人が仕事を選り好みするという点の両方があります。
選り好みと言うと、「そんなことしている本人が悪い」と思われがちですが、家族や周囲の期待・体面など色々な要因があり、難しい問題ではあります。

いずれにしろ、あなたがサウジアラビアで仕事上付き合う人は、ある程度の規模の会社で働く人でしょうから大抵、学歴も含め激しい競争社会で、数多くのライバルを制して今の仕事に就いた人たちです。

 

一方、出稼ぎ外国人はと言うと、祖国では十分な働き口がなかったり、望むような仕事に就けない人がほとんどです。
「中東やサウジ が好きだから」と言ってサウジに行く人は、先進国から来た人のうちのほんの僅かな人です。

いわゆる発展途上国では、働き口の数に対して人口が圧倒的に多いのが一般的です。
ですからそれらの国々では、学歴社会かつ激しい競争社会となっています。

 

サウジアラビアにせよ、発展途上国にせよ、激しい競争社会というのは”自分の代わりは幾らでもいる”と思ってしまう社会です。

ですから、そうした社会で育ってきたい人は、競争から脱落しないためには、簡単に誤っていると損をするという意識が根底にあります。

 

言い訳の理由④:日本人の曖昧な指示

「言い訳ばっかり」と相手を責める姿勢は、「自分は正しいのに」という考えが根底にある表れです。

しかし、ワタシたち日本人が外国人に指示・伝達・依頼をするとき、その表現は相手からするとひどく曖昧に映るときがあります。

例えば
「できるだけ早くやって」という指示を受けた外国人が、今取り掛かっている仕事がひと段落してから3日後に仕上げたとしましょう。
日本人が「できるだけ早くと言ったのだから、もっと急いでやってよ」と思うかもしれませんが、その外国人の言い分としては「できるだけ早く」仕上げたつもりでしょう。
しかし外国人がそう言い分を話すと、「また『でも』とか言って、言い訳ばっかり!」と捉えられがちです。

 

こうしたことを防ぐには、指示を出す段階で日本人が「急いでいるので、明日までに仕上げてください」と具体的に言っておくべきです。
そうすれば相手も日本人の意図を明確に理解できますので、後で「言い訳」が生じる必要もないのです。

ワタシたち日本人は何気なく使うけれど、外国人にとっては曖昧で人により解釈が異なる言葉としては、ほかにも例えば、
「ちゃんと片付けてください」
「これ、あなたにやってもらって大丈夫ですか?」
「また今度にしてください」
など、色々あります。

普段から、相手に解釈の余地を与えない、具体的な言葉遣いをすると、相手の「言い訳」も減っていくことでしょう。

 

 

「言い訳」にはどう対処する?

原因はともかく、実際にサウジ人や外国人社員からの「言い訳」を聞いたら、どのように対処すべきでしょうか。

それは、問題となった事態の再発を防ぐために、相手の回答内容にツッコミを入れて深掘りして、その人としては何ができるかを考えてもらうことです。

そして、その人が今後取るべき行動が浮き彫りになったら、開始時期や期限を決めることに加えて、実際にその通りに為されているかの確認といったフォローアップが重要になります。

 

例えば、あなたがどうして計画通りに生産が上がらなかったのか尋ねたところ、「機械が古いから」という答えが返ってきたとしましょう。

その場合「そっか!じゃあ、買い替えましょう!」とは簡単には言えません。

「その機械でできるだけうまく生産できるよう、日々の点検をしていますか?」
「古いから問題になるという点を、誰かに報告しましたか?」
など、相手に確認できることがきっと思い浮かんでくることと思います。
あなたの専門範囲のこと、長年日本で携わってきたことでしたら、寧ろ、ツッコミどころしかないように感じられるかもしれません。

 

言い訳に直面したとき、くれぐれも避けるべきは頭ごなしに怒ることです。

ついつい「どうせ」とか、「アイツらのことだから」と先入観を持って見てしまいがちですが(そう思っても仕方ない側面はあると思いますが)、ぐっとこらえて、先ずは話を聞いてみましょう。言ってもらいましょう。
話を聞けば、相手に質問を返すための手がかりがきっと出てくる筈です。

 

単に「言い訳はやめて。○○しなさい!」ですと、相手は「言い訳ではない!説明や意見なのに、何故判ってくれないのか?」と思うことでしょう。
あなたがどうして怒っているのか相手が理解しない中で一方的に怒っていては、お互いストレスになることです。

もっとも、相手は立場上、その場では最終的には「判りました」と頷くことでしょう。
しかし心では納得できず、信頼関係の構築にも支障が生じるでしょう。しこりも残り、ひいてはあなたのサウジアラビア駐在・出張の目的である任務の遂行にも支障が生じてしまうことになりかねません。

 

 

まとめ

1.
サウジ人や出稼ぎ外国人の言い訳には、歴史、出稼ぎ、競争社会、日本人の曖昧な物言いなど、様々な要因がある!

2.
言い訳には頭ごなしに怒らず、今後何ができるか聞かせてもらう。そしてツッコミをして深堀りし、対応策を決める。その後のあなたのフォローも大事!

 

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